会長あいさつ
(日本大学教授)
過去においては、人類の生存そのものが、自然環境との共生によって成り立っていたことは疑いの余地がありません。自然の恵みの恩恵を行け、自然と共生すること自体が人類の暮らしでした。しかし、産業革命以来、急速に技術が発達し、快適な生活を追い求める中で、自然環境が資源として消費され、活動によって出される廃棄物が自然環境に大きな負荷を掛けることとなりました。人類の活動が限定的であったときは、自然環境は無限であり、少しぐらい壊しり、汚したりしたとしても、その影響は小さく、再生が可能であるものとして認識されていました。しかし、活動が級数的に拡大する中で、そのような認識が間違えであることが徐々に明らかとなり、改めて自然環境と共生する生活が求められるようになったのです。
当学会は、人間と居住環境との共生に対する問題意識から始まり、社会の要請に伴って自然環境、さらには地球規模での環境との共生に関わる問題へと領域を広げて活動を行ってきました。したがいまして、この環境の中には自然環境だけではなく、衣食住に関わるあらゆる環境問題が含まれます。また、共生を実現するためには、単に工学技術だけではなく、教育・文化、政策・制度など様々なアプローチも必要です。当学会が目指すのは、このような様々な領域、アプローチを横断する学際的な研究、社会貢献、教育などであり、そのための活動の場を適用し、より総合的な展開の支援することです。
現在、環境に関わる研究をされている、多くの研究者の皆さんは、ご自身の研究が、特定の領域だけは収まらず、他領域との関連の中で実施されているのではないでしょうか。当学会には、様々の分野で活躍されている会員が多く在籍されており、このような学際性、あるいは超学際性が求められる研究を行う上で、大変恵まれた環境を提供しています。ぜひ、多くの皆さんに当学会に御参加頂き、活発な活動を行って頂けるよう願っております。