Japan Association for Human and Environmental Symbiosis

会長挨拶

  • HOME »
  • 会長挨拶

会長あいさつ

既存分野を横断する問題解決型学問の評価の必要性
日本環境共生学会会長  林 良嗣
(中部大学総合工学研究所教授)

日本環境共生学会会長 林 良嗣世界にも、日本にも、多くの学会・学術団体が存在する。学会の中心使命は、同業他者評価peer reviewにあります。物理、化学等々の領域型分野の学会は、システム境界が各々の学問の中で閉じている限りにおいて、それぞれの権威付けに成功してきました。

 ところが、学術は異なる環境下で異なる意義を持ちます。平和時、平常時には、真理探究型の学術は大きな意義を持ちます。一方、緊急時、災害時には、問題解決型学術が強く求められます。道路、鉄道、空港、港湾、発電エネルギー施設など、東日本大震災では、平常時には頼もしかった施設も、地震、津波という、非日常の強い自然変化には余りに無力となるばかりか、人々の生命を強く脅かす存在へと180度変身しました。原子力発電所の原子炉の損傷や電源喪失は、システム境界を大きく変え、対応困難な事態に遭遇しましたが、助けとなる学術が存在しないと言うべき事態に陥りました。既存の縦型学問分野では、東日本大震災のような大惨事への解決策を示し得ない原因が、それぞれの学問のシステム境界の狭さにあることを反省できていません。

 科学・技術は、自らが想定した枠組みの中では生き生きとしています。サイエンスカフェにより、自然科学のおもしろさを子供や社会に伝える努力を惜しみません。しかし、従来の科学の不得意な陰の部分、すなわち危うさを伝えることができ、これにチャレンジしようと訴える講師が、今までどれ程居たでしょうか?

 日本環境共生学会は、小さい組織ながらも、持続性(Sustainability)あるいは安全安心性(Resilience)を保障するために、既存の理学・工学・社会科学の学問領域を超えてそれらをつなぎ合わせ、新たな学理を構築しようとする集団です。従来ほとんど存在していない、横断型学問のpeer reviewができる数少ない学会であり、そこに存在意義があります。

 そのため、学会論文集「環境共生」は、既存分野を横断し新しい分野を切り拓こうとする論文を重視することを一層鮮明にしていくこととし、昨年度より、審査分野として「超領域」を設置しました。新たな学問を創生する意欲に燃える若い研究者や院生のチャレンジングな研究論文が次々と投稿され、それらが正当に評価されて刊行される場を提供することを目指しています。今年度から、既存領域を超えて目的探求型の新たな学理を追求する共通の理念をもつ国際学会SSMS (Society for Social Management Systems)と連携して、論文の国際発表・刊行に直結する試みを開始します。

 春の総会においては、開催地独特の実際の活動を視察し、同テーマのシンポジウムが行われます。秋の学術大会では「企画センション」が組まれ、環境に関する横断的なテーマの各種大型研究プロジェクトの発表が聴けます。これらは、当学会恒例のユニークな特徴となっています。出身の学問研究分野を問わず、刺激を求めて多くの若い方々が集っていただくことをお待ちしています。

PAGETOP
Copyright © 日本環境共生学会 All Rights Reserved.